原子爆弾八月五日、広島県波山中学校、一年三組の戸田郁(とだ かおる)は、同じクラスの山谷斎(やまたに いつき)に片思いをしていた。 今年も八月六日から八月十日まで花火大会があると知っていた郁は、やっぱり、斎を誘った。 「ねっ・・・ねぇ!斎君!あのさあのさ!!えっと・・・花火大会あるでしょ・・・?一緒にみに・・・ぃヵなぃ・・・・?」(小声になっていく) 「あ?なんか今言った??」 「聞こえてるくせにぃ・・・」 「あはっ!ばれたvv」 「んで・・・いい??」 「いいよ!俺も暇だしw」 「じゃぁ・・・さぁ!!」 「ただ~し!条件が一つだけアリマース!」 「えぇ・・・なっ・・なに?」 「浴衣で来いよ~」 「はぁ・・・ワカリマシタ・・・」 こうして二人は、八月六日に、前大橋で会う約束をした。 でも、二人は打ち上げられた花火を見ることは出来なかった。 次の日、機嫌よくして浴衣を着ていた。 「斎君・・・喜んでくれるかな・・・。」 とっても綺麗な花柄の浴衣を着ていた。 時間になり、玄関に向かい家を出ようとした時・・・ 郁は・・・白く、青い光に包まれた。 その瞬間、郁は叫んだ・・・ 「ギャァァァァァァ!暑いー!暑いー!!」 郁はもがき苦しんだ。 その瞬間、誰かが郁の体に水をかけて火を消した。 息を荒くしながらも、誰かが郁を抱きあげる。 薄く、色の無い目を開けると目の前には斎が居た。 「なんで・・・居るの・・・」 「敵機を見つけて・・・たった三機でも・・・不安になって・・・」 「なにが・・・起きたの・・・・?」 「・・・敵機に、一発の爆弾を落とされたんだ。俺は放射線とかも浴びずにすんで、無事だった・・・でも・・・郁の住んでる所の近くに落ちて・・・不安になって来たんだ。」 「・・・私・・・死ぬのかな・・・」 「死ぬわけないだろ・・・!郁には・・・生きてほしい・・・」 「でも・・・苦しいよ・・・体の中が・・・熱い・・・血が・・・沸騰して・・・そう・・・」 「お願いだ・・・。逝かないでくれ・・・」 「・・・・水・・・水がほしいの・・・」 「駄目だ!水を飲んだら・・・」 「お願い・・・死ぬ前の・・・頼みなの・・・」 「死ぬな!死なないから・・・俺は・・・俺は・・・」 「・・・・・・」 「おれはお前が好きなんだ・・・!」 「死ぬ前に・・・聞けて嬉しい・・・私も・・・好きだった・・・」 血まみれになった、郁の腕は地面に落ちた・・・ 郁は涙を一粒流して目を閉じた。 「・・・郁?郁・・・冗談ヤメロヨ・・・目開けろって・・・な?」 そんな言葉をシカトするかのように黙り続ける郁。 涙を流す斎。 「郁~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 斎の声が、遠く・・・遠く・・・どこまでも響いた。 そして次の日、涙を流しながら郁を燃やした。 そのあと、斎は郁の遺骨を抱きながら、防空壕の中で息絶えた。 ジャンル別一覧
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